家猫さん達の街
会ってみると、ポルトガルの人たちは人なつこい家猫のようだった。なぜ「家猫」かというと、彼等は余り・・・というか全然ワイルドな感じがしない。
とても(とっても!)親切だが、なれなれしくも暑苦しくもなく、異邦人の私をまるで久しぶりに会った友人のように迎えてくれた。市場ではおかみさんたちが、次から次に声を掛けてくる。街角でカメラを向けると、皆、にこやかに微笑んでくれる。「汝の隣人を愛せ」どころか、「汝等みな隣人」といった風情。度量が広い。歴史のある街なみも建物も、威圧感や騒々しさを感じさせず「ほっとする街」。初めて訪れた時も、住んでいても、離れた後にこの街を思いだすだろう時も、それは変わらないと思う。
ビッカ
猫はマイペースな生き物。猫達が集うカフェも穏やかながらマイペース。アパートの近くの小さなパティオ(公園)に面したカフェに、何度か顔を出したのだが朝でも昼でも夕方行っても、空気がまるで同じなのだ。同じ場所だからそりゃそうだ、と思われるかもしれないが、日本では、朝だと出勤前のエネルギー充填、昼はランチで賑々しく、アフターファイブはほっと一息、といった感がある。ここリスボンではそれがない。
カフェに来た時は、それぞれが「カフェにいる自分」になる。「朝の自分」や「夜の自分」といった区別がないようだ。私もマイペースを気取って、いつも同じ「カフェー」を頼む。古い地元の人は、コーヒーのことを「ビッカ」と呼ぶ。リスボンだけで使われているそうで、その言葉を愛してる人も多い。コーヒーの呼び名にこだわるほど、ポルトガルの人はコーヒー好きなのかもしれない。こちらのコーヒーは、エスプレッソをうんと濃くしたもので、独特のコクがある。健康を気づかってしまうくらい、たっぷりの砂糖を入れて飲む人が多い。
ここにて陸地は果てる
ファド(※)に象徴されるように、ポルトガルには暗さがある。甘く切ない暗さで、この暗さが、マイペースをワガママに変えない共感を生み出しているのかもしれない。「ここで陸地は果て、海が始まる」詩人カモンイスの有名な言葉だが、果てていく陸の暗さと、気負いなく海に出て行く俊敏さが、ポルトガルの最大の魅力だと私は思う。
※ファド:ポルトガルの民衆歌曲。哀愁のあるギター伴奏で、人生の悲哀を歌う。
■ポルトガルの珈琲人・プロフィールポルトガル リスボン在住歴:2ヶ月
職業:コーディネーター
珈琲人から:
もともとコーヒー好きの私ですが、濃厚な“ビッカ”をストレートで飲むのには、まだちょっと慣れません。砂糖をいれるのも好みではないので、カスタードたっぷりのエッグタルトとの組み合わせを定番にしています。
異国の地へ
ここスペインにやってきて3年が経つ。私が生活に選んだ地は、ドン・キホーテの活躍で知られる、赤茶けて荒涼とした大地“ラ・マンチャ”を目前に控えた、首都マドリッド。
一区画が何百年も前に作られた丸ごと一つの建物で、近代的なオフィスが入っているかと思えば、裏通り側にはベランダいっぱいに花を飾るアパートの住人たちがいるような、新しいものと、不変的なもの、全てが違和感なく混ざりあう街だ。シエスタ(お昼寝・お昼休み)の時間には本当に街中が眠ってしまったかのように閑散とする。慌ただしい国際ビジネスの舞台を横目に、彼らのスタイルを守る姿勢は、頑固というより伝統の継承とも言うべき、ひとつの文化になっている。
一日の序曲はバルから
スペインの生活空間にとけこんでいるもののひとつに“バル”がある。喫茶店とカフェとバーが一緒になったような、生活に欠かせない場所。朝から“バル”に立ち寄り、コーヒータイムを楽しむ人々。家族で来る人も多く、日本ではあまり目にしない風景だ。ゆっくり新聞を読んでいる姿や、延々と続くおしゃべりに、仕事に間に合うのかしらと余計な心配をしてしまう。近くに官公庁街があるのだが、その職員が多いのではないだろうか。終わりの時間は時間通りぴったりなのに、始まりの時間はマイペースなのが彼ら流だからだ。
こちらではコーヒーを注文すると、目の前で挽いたものを出してくれる。そのコーヒーに、たっぷり、ほんとにたっぷりのミルクを加えた “カフェ・コン・レチェ”が朝には人気があるようだ。けれど、私のお気に入りは体にピリッとくるような深くて濃いエスプレッソ。まだ少し気だるい朝の気持ちを新しい一日にシフトしてくれる。そして、サイドには揚げパンのチュロ。日本で売ってるチュロスの原型なのだろう、見た目は良く似ているがこちらでは揚げたてを紙に包んでくれる。そのアツアツをほおばり、包み紙は床に捨てるのがお約束。はじめのころは、朝には重いと思ったものだがいつしか朝の定番メニューになっていた。
光と情熱の世界へ
スペイン人は時間にこそルーズだが、働き者。朝のコーヒーでエネルギーを活性化させて、働き蜂が飛び立つように発って行く。こくのあるエスプレッソを流しこみ、セルバンテスとガウディが吸い込んだ空気を胸にためて、ミロの描いた太陽の下に踊りだす。この街の一部になって自分が溶けていく瞬間だ。
■スペインの珈琲人・プロフィール
スペイン マドリッド在住歴:3年
インテリアコーディネーター
珈琲人から:
スペインというと闘牛やフラメンコというイメージが強いですが、
日常生活の中にある人々の情熱が一番のスペインらしさだと思います。
12月のドイツは楽しい!
12月のドイツといえば、それはもうクリスマス(ドイツ語ではWeihnachten )一色!中でも私の大好きな、楽しいイベントは、クリスマスマーケット。小さな町から大都会まで、ドイツ中で催されている、この季節のお祭りのようなものです。
特に素敵なのは夜で、歴史ある美しい町並みがあたたかな光と色で彩られ、まさにメルヘンの世界。決して派手ではないものの、心あたたまる雰囲気を胸に刻みながらマーケットを歩く時は、ドイツっていいなあと心から思えるひとときです。
冬のカフェもいいものです
マーケットにはいろんなお店が集まっています。見ていて面白いのは、職人技の光る手作りの人形やおもちゃ、小さなオーナメント等。見るのに熱中して時間を忘れることしばしば。
そして歩くうちに、いたるところからおいしそうな匂いが漂ってきます。じゃがいもをすりおろして揚げた“カルトッフェルプッファー”に、焼きたての香ばしいソーセージ、甘い香りの炒りアーモンドが私のお気に入り。寒空の下、あつあつをその場で頂くのがおいしい。体が冷えてきたら、グリューワイン(スパイスと甘味の効いたホットワイン)を飲むと、体がぽかぽかしてきます。
とはいっても、本当に寒さに震える時は、カフェに入ってひとやすみが一番!ですけどね。昨年ニュルンベルグのマーケットを訪れた際、寒さに耐えられず一軒のカフェに入ったときのこと・・。カフェの扉をあけると、こごえる外の世界から一転、柔らかであたたかな空気と、おいしそうなコーヒーの香りに包まれて、かなりほっとしたことを思い出します。重いコートを脱いで、温かいコーヒーをいただくと、なんだか生き返ったような気分でした。そこにいる人々の顔もなぜか幸せそう。外が寒ければ寒いほど、あったかカフェは頼れる存在なんだと実感しました。
おうちでコーヒータイムには・・・
クリスマス時期ならではのお菓子の種類も豊富です。スパイスや木の実、ドライフルーツを使った、素朴で日持ちするものが多いようです。先日購入した、どっしり重みのある“シュトーレン”は「中」サイズでも、1キロもありました。この重みがドイツらしい!
ほかにも、小さいクッキー類や、スパイスとはちみつの入った“レーブクーヘン”などが、この季節、我が家でのコーヒーのお供として登場しています。お菓子の適度なスパイスの感じが、コーヒーの味とよく合うような気がして、ついつい手がのびてしまうのですね。ちなみに、家で飲むコーヒーは、エスプレッソかカプチーノです。エスプレッソマシンで嬉しげに、にわかバリスタ気分を味わっております(笑)
作ってみました。
今年は買うだけでなく作ってみよう!と思い立ち、友人に教わってお菓子作りにトライしてみました。まずは、フランクフルトならではのクリスマス菓子“ベトメンヒェン”。マジパン主体の生地のまわりに、アーモンドが3粒ついた可愛いらしい焼き菓子です。また、三日月型の“キップフェル”は優しくて、懐かしい感じの味がするクッキー。簡単なレシピをつけますので、ぜひ作ってみてくださいね!おうちでコーヒーを飲みながら、ドイツのクリスマス気分を少しでも味わっていただけたら嬉しいです。
●“ベトメンヒェン”“キップフェル”の作り方はこちら
■ドイツの珈琲人・プロフィールドイツ フランクフルト在住
夫の仕事の都合でヨーロッパで暮らす。フランクフルト在住歴:2年
珈琲人から:
フランクフルトのクリスマスマーケットも、なかなか盛大で楽しいですよ。
今年は、11月26日から12月22日までだそうです。
元気になれる色がある街
私はアムステルダムの川沿いの、三階建ての一番上、つまり三階に住んでいます。ここへ越してきて半年、早起きせずに気ままにもの作りをする生活はとても楽しく充実しています。
この街のいたる所にごく自然に存在するアートのような「色のあるものたち」に囲まれていると、それだけで元気になります。
キラキラのアムステルダム
家の細い階段を下りて橋を二つ渡ると、そこにカフェがあります。私はそこで、朝ごはんを食べるのが大好き!ちょっと苦めのコーヒーに砂糖とミルクを少し入れて、パンとチーズとハムを、いっぱい、いっぱい食べるんです。バターをたっぷりつけて!(パンは日本のようにトーストされてはいませんが、慣れると結構おいしいです。)キラキラ光る運河を眺めながらの、朝ごはんはとてもステキです。
光りまで色!色!色!
コーヒーを飲むときは、やはりゆったりとした気持ちになりますよね。オランダ暮らしを始めて、何杯となくゆったりとコーヒーを飲みましたが、中でも忘れられないゆったりコーヒーがあります。それは、ユトレヒトのセントラルミュージアムのカフェで飲んだカプチーノです。広い店内に客は私一人。2列に並べられたテーブルの、真ん中よりも入口に近い所を選んで座りました。ステンドグラス風に赤いラインの入った窓から射し込む光は、カプチーノのふわふわの泡の上にもラインを落として、とてもきれい。チーズケーキと一緒にゆっくりと、ゆったりといただきました。ああ、至福のひととき。
生活を楽しむスタイルができています
でもゆったりと飲むコーヒーばかりではありません。散歩が大好きな私は、少しの距離なら、トラムにも自転車にも乗りません。自転車といえば、こちらではママチャリも機能的でおしゃれです。発想がおもしろく、子供を乗せるためというより、子供との生活を楽しく便利にという気持ちが伝わってきます。そんなかわいい自転車を横目に、私は歩きます。な・ぜ・な・ら!散歩の途中で自動販売機で「クロケッタ」を買って、食べ歩きするからです。クロケッタは、コロッケのようなものです。自動販売機でコロッケなんて、おもしろいでしょう。食べ終わったころには、今度は口をさっぱりさせたくてエスプレッソを飲むために、カフェを探してしまうんですけどね(笑)。
■オランダの珈琲人・プロフィールオランダ アムステルダム在住
アムステルダム在住歴:6ヶ月 職業:家具デザイナー
珈琲人から:
アムステルダムの街は観光というより、街をゆっくり見て歩くことをおすすめします!けれど石畳がボコボコしているので、スニーカーを忘れずに!
イタリア生活スタート
念願だったイタリアでの生活を始めた場所は、シエナという丘の上にある小さな街。中世的な建物は歴史を感じさせてくれます。数年前旅行で訪れたミラノとは全く違い、シエナの住人は独特?な雰囲気。
やっと住人らしくなったかな?
街には多くのbar(バール)が見受けられます。朝barに行くと通勤前の和やかな空間が存在します。バリスタは多くの客の注文に対してすばやく提供しつつ常連とのおしゃべりも欠かさない。私も仲間に入れるかしら??とお気に入りのbarに毎朝顔を出している最中。シエナに来て3週間。やっと顔を覚えてもらい、自然に『buon giorno、マッキャート??』と聞かれるようになり、どこか力んでいた生活が楽に感じられるようになりました。
手元を見てるだけでも楽しい!
bar にはcaffeの種類もたくさんあります。日本でもポピュラーなcapuccino(カプチーノ)の他にもmacchiart, normale,caffe lungoなど。バリスタはlatte(ミルク)を丁寧に温め、クレマのしっかり浮かんだエスプレッソを抽出したカップめがけてlatteを注ぎます。きめの細かい泡だからこそカップの表面にハートや木の葉、人の笑い顔などが描けるのです。これぞアートエスプレッソ。
日本でどのくらい浸透しているかわかりませんが、caffeとbarでの時間をこよなく愛するイタリア人にとっては、一日の活力源になっているに違いないアートエスプレッソ。バリスタは常連客の顔つきから気分なり心情なりを察して、目からも和ませてくれるのです。もちろんサービス精神も旺盛なのでしょうけど。なにかと慌しい日本の場合、お店でコーヒーを飲むのはひと休みを兼ねて??もちろん、それも有意義な時間ですが、ちょっと視点をかえてお店で過ごす時間を味わって欲しいな。そんな気持ちを込めて、今イタリアからメッセージを書いています。

これからの生活にワクワク
今年、日本は冷夏でしたが、イタリアは日中まだまだ暑いくらいの陽気です。でも自然は季節を感じさせてくれますね。夏の終わりを告げるかのように、栗の木から実がたくさん落ちてきました。秋から冬にかけては街に焼き栗屋台も多くなります。そんな場所でのコミュニケーションもきっとイタリア人にとっては楽しい時間なのでしょう。小さくて都会的でもありませんが、barだけでなくアットホームなシエナの街全体が、人々に居心地の良さを感じさせるのかもしれません。
これから生活していく中で、いろんなことを吸収できればなとワクワクしています。エスプレッソ一杯で人ともっとつながっていければそれは嬉しいことだと思います。肩に力が入っていたり、悩んでいても、barに行けばフッと楽になれるのですから。
■イタリアの珈琲人・プロフィールイタリア シエナ在住
シエナ在住歴:3週間 職業:バリスタ修行中
珈琲人から:
caffeの魅力は無限なのです(笑)もし観光などでイタリアに来ることがあればbarでの時間をプランに入れてみてはいかがですか??



